【SquarespaceとWordPress の比較】料金、各種機能まで徹底比較!
Squarespace と WordPress は、どちらも世界で上位のシェアを誇るCMSサービスです。
CMSサービスはそれぞれに特色があり、どのようなサイトを作りたいか、サイト制作の知識がどれほどあるか、予算がどれほどか、などによって最適なサービスは異なってきます。
本記事では、 Squarespace と WordPress 、それぞれの料金や機能、使い勝手などを多角的に比較していきます。それぞれの強み・弱みまで詳しく解説していくので、ぜひツール選びの参考にしてみてください。
Squarespace と WordPress の概要
Squarespace は、コーディング不要で、初心者でも簡単に見栄えの良いWebサイトが作れるCMSサービスです。洗練されたデザインテンプレートがウリで、日本での知名度こそ高くありませんが、海外ではピクサーのHPがSquarespaceを用いて制作されるなど、今大注目のサービスでもあります。日本のユーザーがまだそれほど多くないことから、サイトのデザインが被るといった心配がないことも強みと言えるでしょう。
一方のWordPress は、世界全体のHPで42%ものシェアを誇る、名実ともに世界トップのCMSソフトウェアです。オープンソースのソフトウェアであるWordPress は世界中のエンジニアが開発に携わり日々アップデートが行われており、利便性、機能性ともに非常に高いクオリティを誇ります。個人ブログから大企業のコーポレートサイトまで、あらゆるニーズに対応できる、その自由度の高さが特徴です。
二つのサービスはWebサイトを制作するためのCMSツールとしての役割こそ共通していますが、そのシステムや、サイト構築の自由度、手軽さなどの点で明確な違いがあります。以下では、それらについて詳しく比較していきます。
両者のシステム・役割の違い
他の記事でも解説してきた通り、Squarespace は基本的に有償のサービスで、月額料金を支払うことによってサイトのエディター機能、テンプレート、サーバーのホスティングなど、通常ゼロからサイトを構築する際に必要な役割のほとんどを果たしてくれるCMSです。テンプレートに従ってドラッグアンドドロップでコンテンツを追加していけば、専門的な知識や外部サービスの契約等を必要とせず、手軽にサイト制作ができるという点を特徴としています。
一方で、一般的にWordPress と呼ばれるものは、WordPress.org で入手できるフリーソフトウェアであり、ソフトウェアをインストールして使用することが前提になっています。WordPress を使用してサイト制作を行うこと自体に料金はかかりませんが、ソフトウェア単体ではあくまでCMSツールとしての役割しか果たさないため、サイトを公開し運営するために別途レンタルサーバーの契約や、ドメイン取得などを行う必要があります。また、好みのサイトを構築しそれを維持するためには、かなり専門的な知識が必要になります。
ただ、WordPress にはWordPress.com という派生のサービスがあり、こちらはWordPress を利用したブログサービスという位置づけです。そのシステムはSquarespace に近く、各種プランを契約することで、Web上でWordPress を利用したサイト制作サービスを利用できるようになるというものです。こちらでは、デザイン等の自由度が多少制限される代わりに、コーディングなどの専門的な知識をそれほど必要せず、他のCMSサービスと同様に、WordPress.com を運営する企業がサーバーのホスティングや保守管理等も一括で行ってくれるというものです。
本記事では、このWordPress.com (以下WordPress)をSquarespace の比較対象として、料金や機能などについて詳しく見ていきます。
デザインの手軽さと自由度
Webサイト制作において、サイトのデザインはプロモーションの観点から最も重要な要素です。Squarespace と WordPress.com では、その特色が大きく異なります。
Squarespace のテンプレートの一例。全てのプランで自由にテンプレートを選べる
まず、デザイン面でよりユーザーフレンドリーなサービスと言えるのが、 Squarespace です。Squarespace は100以上のプロが設計したテンプレートをすべてのプランで選択することができ、それらはどれを選んでも非常に見栄えのよいものです。テンプレートのクオリティは、Wordpress.com を含む他のCMSサービスと比較しても頭一つ抜けています。しかも、それらは全てスマートフォンやタブレットなどにレスポンシブ対応しているため、基本的にはモバイル対応をユーザーが行う必要はありません。
どのテンプレートも一貫して高品質であり、最安のプランからすべてのテンプレートが利用可能であるという点は、Squarespace が持つ最大の美点です。
そして、エディターの操作が非常に直感的であることもSquarespace が持つ長所です。日本語への対応こそしていませんが、簡単な英単語さえ分かればすぐに思い通りのデザインをすることができるでしょう。
一方で欠点を挙げるならば、すべてがSquarespace のサイトエディタ上で完結しているため、Squarespace 側が課している制約を超えてカスタマイズすることは不可能であるということでしょうか。これは他のCMSでも基本的に共通の制約ですが、Squarespace テンプレートのクオリティが高い代わりに、その自由度もかなり制限されています。
WordPress のテンプレートの一例。プランによって使用可能なテンプレートが異なる
一方のWordPress.com は、Squarespace のようにすべてがWeb上で完結するCMSと異なり、ベースがWordPress.org という独立したソフトウェアであるため、 ビジネスプラン以上ではWordPress.org にインストール可能なあらゆるサードパーティーのテーマおよびプラグインを利用できるという特徴があります。これらを利用すれば、Squarespace を遥かに超えた自由度でサイト制作を行うことも可能です。反面、サイトエディターとしては少々分かりにくい部分が多いのも事実です。直感的な操作で変更可能な領域が限られており、例えばフォントサイズを変更するにもコーディングが必要であるなど、知識が必要になるケースが少なくありません。
また、Squarespace とは異なりテンプレート(WordPress 上では「テーマ」)を一度決定した後も、いつでもテーマの変更が可能であるというのも嬉しいポイントです。これにより、サイト制作の途中で目指したいデザインの方向性が変わった場合であっても、そこまでに構築したコンテンツをそのまま他のテーマに移行することができます。WordPress には全プラン分合わせると300以上のテンプレートが用意されているため、そうしたケースでの選択肢が多いことも魅力です。
ただ、WordPress ではプランによって選択できるテーマが異なります。無料~パーソナルプランで選択できるのは無料テーマに限られ、プレミアムプラン以上、ビジネスプラン以上の契約でそれぞれ選択可能なテーマが増えます。また、テーマはレスポンシブ対応しているものとしていないものが混在しているため、自身で対応させられない場合には注意が必要です。
デザインの観点から見ると、より初心者に優しく、誰でもクオリティの高いデザインができるのはSquarespace です。ただ、WordPress には最大シェアであるWordPress.org が持つ膨大なサードパーティーのコンテンツを利用できることによる高い自由度があるため、一概にどちらが優れている、とは言い切れません。コーディングの知識があるか、どのくらい独創的なサイトを制作したいのか等を総合的に検討し、より適したサービスを利用してください。
SEO機能の強力さ
Webサイト制作において、SEO対策は、サイトを検索エンジンの上位に表示させるために必要不可欠な要素です。SEOに適切な設定が施せるかどうかは、サービスがどこまでSEOに介入できるかによって左右されます。
結論から述べれば、このSEO機能の強力さについては、一長一短です。Squarespace では全プランでGoogleアナリティクスを利用した分析や、組み込みで搭載されている各種SEO設定を利用できます。検索上位を獲得するためには各種項目の適切な設定が不可欠ですが、機能としては十分以上のものを備えています。
一方のWordPress では、プラグイン無しの状態で設定できる項目がSquarespace ほど多くなく、またGoogleアナリティクスはプレミアムプラン以上にしか付属していません。しかしながら、ビジネスプラン以上を契約していれば、WordPress.org のSEO対策プラグインとして開発されたYoastなどのサードパーティー製プラグインを利用できるようになるため、これをうまく活用すれば完全に最適化されたSEOを設定することが可能です。
また、SEOにおいてはページの読み込み速度も重視されるポイントの一つとして知られていますが、ここではSquarespace とWordPress、両者の特色が現れます。Squarespace はカスタマイズ可能な範囲が狭い代わりに、平均的な読み込み速度を外れることはほとんどありません。一方のWordPress では、どのテーマを選択するかや、使用するプラグインなどにより読み込み速度が大きく異なってきます。気を遣わなければ非常に遅いサイトが出来上がってしまう可能性もありますが、最適化を入念に行えば、他のサービスには実現できないスピードを実現することもできるでしょう。
ブログ機能
Webサイトの用途として、必ずと言っていいほど上位に挙げられるのがブログとしての利用でしょう。個人的な備忘録から企業の情報発信まで、ブログは今も昔もポピュラーな表現方法の一つであると言えます。そしてこのブログを運営するにあたっても、CMSはその助けとなるツールです。この点について、Squarespace とWordPress を比較してみましょう。
Squarespace はCMSサービスの中でも随一のブログ機能を備えていますが、WordPress は、それに劣らない高い利便性を誇ります。
WordPress を開始してみれば分かるように、WordPress はそもそもブログ用途を念頭に置いて設計されたサービスです。無料プランでも、メディアの管理、カテゴリ、タグ、コメントの管理などほとんどの機能を使用できます。手軽にブログを始めてみたい、という方にとっては、WordPress の無料プランは最良の選択肢になるでしょう。
どちらにもCMS界で最高峰のブログ機能が搭載されているため、単純な機能の比較ではほとんど差がないと言えます。
バックアップとストレージ
使用可能なストレージという観点では、Squarespace は全ての有料プランで無制限のストレージを提供している一方で、WordPressはプランによって6~200GBという制限があります。これは、多くのユーザーにとってはそれほど大きな差ではないかもしれませんが、サイズの大きい写真を多用するような場合においては、WordPress ではより高価なプランを選ぶ必要があるかもしれません。
バックアップの観点においては、WordPress が部分的に優れています。WordPress では、ビジネスプラン以上を契約するとWeb サイトのコンテンツが自動的にバックアップされ、かつデータが吹き飛んだ場合でもワンクリックで任意のポイントから復元することができるようになります。対するSquarespace は、ユーザーがコンテンツを手動でバックアップする必要があるため、注意が必要です。
価格の比較
まず、それぞれの料金プランについて整理しておきましょう。
Squarespace
より詳しいプランの解説はこちら
Squarespace には4つの料金プランがあり、価格は$16~49/月(いずれも年間プランでの料金)です。無料プランはありません。どのプランを選んでも Squarespace 最大の特徴である魅力的なテンプレートをすべて利用できますし、無制限のストレージ、強力なSEO機能、24時間365日のカスタマーサポートなど必要十分な機能は揃っています。
料金プランは後から変更可能なため、はじめは最も安価な Personal プランから始めてみるのも、すでにサイトの構想が固まっている場合やコードを利用した個性的なサイトを作成したい場合は、Business プランから始めてみるのもよいでしょう。
ECサイトとしての利用を考えている場合は、規模の大きさや販売の形態などを考慮し、Buisiness ~ Advanced Commerce プランの中から自分に合ったものを選択することになります。
WordPress
WordPress.com の料金表
WordPress には、無料プランと4つの有料プランがあります。無料プランは手軽にブログを始めたい人にとって素晴らしい選択肢の一つですが、無料プランを持たないSquarespace との比較を目的とする本記事では説明を割愛します。
有料プランのうち最も安価なのは500円/月(年間一括支払いでの料金、以下同様)のパーソナルプランです。これは広告なしで利用できるCMSのプランとしてはかなり安価ですが、機能や選択できるテーマにかなりの制限があります。ただ、ブログ機能に特化したWordPress らしく、このパーソナルプランから、サブスクリプションの機能を利用した限定コンテンツの配信が可能です。
次に位置するのが900円/月のプレミアムプランです。プレミアムプランはテーマの選択肢が広がり、GoogleアナリティクスやカスタムCSSが利用可能になるなど、十分な機能を備えています。ただ、プラグインは利用できず高度なSEO設定もできないため、商用利用を目指すには少々機能不足です。
WordPress の特色を最大限活かせるのが、ビジネスプランおよびeコマースプランです。2900-5220円/月と価格は一気に上がりますが、この2つのプランでは数万に及ぶWordPress.org 向けのあらゆるプラグインをインストール可能になり、実現可能な機能が大幅に拡張されます。また、WooCommerce というプラグインを利用しオンラインストアを運営することが可能になります。ビジネスプランからeコマースプランへアップグレードすると、より複雑な配送オプションやグローバルな支払いの受け入れなど、高度なECサイトに必要な機能が利用可能になります。
料金の直接比較
それでは、ここでSquarespace と WordPress で競合になり得る同等のプランを例にとって、価格と機能の比較をしてみましょう。
ブログやポートフォリオ等、それほど高度な機能を必要としない用途での利用において、それぞれで最も経済的な選択はSquarespace でPersonal プラン($16/月)、 WordPress ではパーソナルプラン(500円/月)、もしくはプレミアムプラン(900円/月)になります。価格としては大差でWordPress が勝っていますが、前述の通り、WordPress のパーソナル/プレミアムプランではその機能がかなり制限されており、Squarespace のPersonal プランと比べるとその貧弱さは否めません。そのため、SEO対策やGoogleアナリティクスによる分析等を必要とせず、商用利用を目的としない個人的なサイトを運営したい場合においてはWordPress が優勢ですが、それ以上を望む場合は比較対象を変える必要があります。
Squarespace のPersonal プランと同等以上の機能を利用できるWordPress のプランは、ビジネスプランおよびeコマースプラン(それぞれ2900-5220円/月)です。ビジネスプラン以上で利用できるプラグインは、Squarespace 以上の拡張性をもたらします。
その価格に注目すると、現在のレート(2023年2月)ではSquarespace のPersonal プランがおよそ2,000円/月、Business プラン がおよそ3,000円/月、WordPressの ビジネスプランが2,900円とほぼ互角です。
機能の差に着目すると、最も安価なSquarespace のPersonal プランではサイト上で製品の販売ができないという点のみが気になります。そうしたECサイトとしての利用をしない場合、サイトを運営する上で必要十分な機能はどのプランにも備わっているため、Squarespace のPersonal プランは堅実な選択肢になるでしょう。
ECサイトとしての利用をする場合は、一転して若干WordPress が優勢です。WordPressの ビジネスプランでは追加の手数料なしで取引が行えますが、Squarespace はBusiness プランで取引を行う場合、取引単位で3%の手数料が発生するためです。長期的に見た場合、Squarespace では手数料の発生しないBasic Commerce プラン($27/月、およそ3,500円/月)以上がより賢明な選択であるかもしれません。
また、大規模なECサイトを作成する際には、それぞれSquarespace ではAdvanced Commerce プラン($49/月)、WordPress ではeコマースプラン(5,220円/月)が比較されます。日本円に換算して比較すると、Squarespace がおよそ6,500円/月、WordPress が5,220円/月と、WordPress がここでも少し優勢に見えます。
しかしここで注目すべきは、基本のプラン料金に追加で発生するコストです。ここまで述べてきた通り、WordPress の長所はその豊富な外部プラグインであり、その多くが有料です。実現可能な機能およびプラン単体の料金としてはWordPress に分があるように見えますが、プラグインやその他に必要な費用を総合すると、高確率で両者のコストは互角かSquarespace のほうが安く収まるでしょう。
Google Workspace の料金表
また、Squarespace のBusiness プラン以上では、Google Workspace のビジネス用メール アカウントが1つ提供され、ドメイン名付きのメールアドレスを1年間無料で利用できます。一方でWordPress は料金に同様のサービスが含まれていないため、ドメイン名付きのメールアドレスを取得するためにはGoogle Workspace のBusiness Starter プラン等を契約する必要があります。これは最もGoogle Workspace で最も安価なプランですが、それでも月額680円が発生します。
プラン単体で見ると価格はWordPress が若干優勢に見えますが、こうした追加のコストを踏まえると、総合的にSquarespace のほうが安価で済むケースも少なくないでしょう。そのため、主にビジネス用途では、初めから各種機能が搭載されているSquarespace のほうが勝っているかもしれません。また、トータルのコストが計算しやすいこともビジネス用途においては長所です。
一方で、もっと小規模かつ手軽な個人サイトを制作したい場合には、WordPress はかなり強力な選択肢になります。元々ブログ用途として圧倒的なシェアを誇るWordPress.org の、コーディングやサーバーのホスティングなど知識が必要とされる部分を極力排除したのがWordPress.com だからです。このような場合には、まず無料プランから始めることのできるWordPress はSquarespace にない価値を有していると言えます。
つまり、それぞれ得意とするユーザー層が微妙に異なるため、どちらが一概に価格面で優れているとは言い切れません。必要とする機能やサービスがプラン料金に含まれているのか、含まれていなければ追加でどれほどのコストがかかるのか、という部分をきちんと計算し、最適なサービスを選択してください。
まとめ
Squarespace と WordPress はどちらも、Web上で完結するCMSツールとして優れた選択肢であり、いずれも個人用のブログから大規模なオンラインストアまで、多彩なニーズに対応できるサービスです。
どちらを選択すべきかは、制作したいサイトのイメージと、内容によって異なります。もし極力手を加えずに見栄えの良いサイトを制作したい場合はSquarespace を選択すべきですし、とにかく低コストでブログ等のサイトを運営したい場合はWordPress のほうがより良い選択肢になるでしょう。
また、プラグインの導入やコーディングに時間を割けないなら、Squarespace が非常に直感的なエディターを有していることには注目すべきです。一方でSquarespace は2023年2月現在で日本語UIが用意されていないので、どうしても英語が苦手だという人は、公式に日本語対応しており、日本語フォントも標準で用意されているWordPress のほうが適しているかもしれません。
ここまで本記事で比較してきた項目を参考にしながら、より自分に合ったサービスを選択してくださいね。
Kyriosでは、Squarespace の料金プランや使い方に関する相談を随時受け付けています。何かご不明な点がありましたら、お気軽にこちらからお問い合わせください。